シンタローを追って着いたのは、崖の下だった。
彼、そして東北ミヤギ、忍者トットリ、アラシヤマの4者が睨み合っている。
トットリはアラシヤマの首に忍者刀を突きつけている。
の脳裏に、懐かしい記憶が思い出された。
『し、師匠…こ、これ、は…』
『忍者たるもの、アナコンダの一匹も捕獲出来ぬようでは半人前。己の力で何とかしてみせろ』
『無茶苦茶だっちゃわいや!』
『どうした。殺らねば喰われるぞ』
『ヒィィィ!!』
『この川底に、これと同じ石がある。それを取ってくるのが本日の修行だ』
『そ…そんなこと言ったって師匠…』
『何を尻込む。光る石ゆえ見つけるのは容易い筈だ』
『取ってくる方に問題があるだっちゃ!ここはピラニアの…』
『行け』
『どぅわっちゃああぁぁあーーーーッ!!』
「わー!ユキノブくんがまだ暴走しているぞッ!!」
ナマモノ達の声に回想から引き戻されると、シンタローを蹴り飛ばしたユキノブが、暴走列車が如く駆けて行くところだった。
シンタローはそのまま倒れ、徐々に白くなっていった。
「─ふむ」
ぼうとしていた間に決着がついていたらしい。
我が弟子は何処やと見遣れば、アラシヤマの背後で咳き込んでいる。
は静かに、懐から何かを取り出した。
「げほっ、ゲホッ…ミヤギくん…──むぐ!?」
黒焦げた親友を振り返った瞬間、トットリの口は何かに塞がれていた。
同時に、視界も奪われる。
もっと正確には、身動きが取れない。
所謂、簀巻き状態というやつだった。
「修行のし直しだ」
「!?!?!?」
聞き覚えのある声に、簀巻きの中の物体が狼狽し、そしてあらん限りの抵抗を試みる。
しかし所詮は簀巻き、幾ら暴れようとも体長10メートルのアナコンダを瞬時に捕獲する能力を持つ男には敵うべくもない。
「出来の悪い弟子を持つと苦労する」
「──!───!!」
夕暮れを背に、動く簀巻きを抱えた長身の男が、パプワ島のジャングルの中へと踏み入って行き、やがて消えた。
以降数日間、トットリの姿を見た者はなかったという。
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