の助けも手伝って、運動会の準備は着々と進められ、日が昇る頃には立派な運動会場が出来上がっていた。
長良川の鵜、もといシンタローによる選手宣誓により、開始の合図が為されると、場は途端に賑やかとなった。
「くんは参加しないの?」
エグチが聞いてくる。
否、とは首を横に振った。
「俺は設営側にいよう」
首を傾げるエグチ。
と、の後ろからが出てきた。
「怪我したり、何か困ったことがあったら、ここに来て。私たちは、ここから皆を見ているから」
足りないところを補うように、が説明する。
エグチはこくんと頷いて、手を振りながら駆けて行った。
「楽しいですよね。こういうの」
ふと、救急箱を確認していたが口を開いた。
は競技の様子を見遣った。
島の住人達が、皆一丸となって汗を流している。
騒がしい声の大半は笑い声だ。
「──ああ」
は、静かに、だが力強く頷いた。
「あーーッ!秘石がァア!!」
第三種目、タマ転がし。
シンタローの叫び声に視線を移すと、彼が全速力で坂道を駆け下りていくのが見えた。
「シンタローさん…?」
が不思議そうに腰を上げる。
「─ここを頼む」
「えっさん!?」
一言告げるや、は設営テントから姿を消した。
← →
MENU