宴も酣、とは言い難いが、ちびちびと酒を煽る守り神と共に、花見のときは過ぎていった。
パプワとチャッピーは、ヨッパライダーの手招きに応じて、彼の膝の上にちょこんと座していた。
盛り上がっているとは世辞にも言い難いが、が次々と差し出す肴をつまみながら、それでも島の者たちは、静かに、ではあるがそれなりに、和気藹々とした時間を過ごしていた。

そんな折だった。

「ん」
ヨッパライダーが、パプワに視線を移した。
パプワの顔が、ただごとならぬ気配を写している。
「どォしたパプワ!?」
ヨッパライダーが問う。
パプワは、正面を向いたまま。
「シンタローが──…」

ざわり、と。
その場に居た者全てが、色めき立った。
「えッ!なんですってええ!」
「シンタローはんがッツ!」
「シンタローさんが?」
「シンタローが?」
「わーう?」
口々に、問いかける面々。
やがて、最後の一人となったミヤギが、焦れたように口を開いた。
「どしたべ?」

パプワは、ふい、と上方へ視線を向け。
「死んだ」


流石のも、これには動揺を隠し切れず、持っていた包丁を取り落としそうになった。
それは、パプワが発した衝撃的な言葉そのものよりも。

「ほ…ほなパプワはん、あんさんの後ろにおらはるお方は誰でっか!」

青ざめた顔でパプワの方を指さすアラシヤマ。
少年の背後には──…
「パプワぁ、俺死んじまったぜ」

いつもと変わらぬ調子で困ったように呼びかける、黒髪の男がいた。


──Dead or alive ?






 

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